オンラインのキャリア教育で、生徒が「自分から動く」状態をつくれるのか?
オンラインのキャリア教育で、生徒が「自分から動く」状態をつくれるのか? この問いに対するひとつの回答が、ジョブカフェ青森の実践事例です。
中学生を対象にメタバース空間でおこなったキャリア教育イベントでは、チャットやエモートなど任意の発信行動が一定数確認されました。授業の一環として実施されたイベントではありますが、「送らなくてもいい」行動が自然と生まれた点に注目できます。
地方の中学校では外部講師を招く機会が限られます。オンラインでの開催を検討するケースも増えていますが、ウェビナー型では生徒の反応がうすくなりがちです。本記事では、メタバース空間を活用した事例の設計意図・データ・改善点をまとめ、現場で再現するためのポイントを整理します。
キャリア教育の事例概要|ジョブカフェ青森 × reBako
ジョブカフェ青森(青森県若年者就職支援センター)が、中学生を対象にメタバース空間でおこなったキャリア教育イベントです。参加者は中学生3クラスと教員。
- プラットフォーム: reBako(リバコ)——ブラウザ完結型バーチャルイベント空間
- 会場構成: セミナー会場(キャリア講演)+ すごろく会場(ゲーミフィケーション型職業体験)
- おもなコンテンツ: キャリアセミナー / 適職診断 / すごろく型職業探索
- 参加環境: 学校PC教室(Windows + Chrome)
- 運営体制: オンライン配信 + 現地サポートスタッフ配置のハイブリッド型

周囲に海のイラストがあしらわれたバーチャル空間で、生徒たちはアバターとなって自由に移動。すごろく形式で各マスに配置された「職業」をめぐりながら、たのしくキャリアについて学ぶ——そんな体験型のキャリア教育が実現しました。
キャリア教育の事例データ
今回のイベントは授業時間を利用した実施のため、接続・滞在・会場間の移動はいずれも授業の流れに沿ったものです。ここでは生徒が任意でおこなった発信行動にしぼって見ていきます。reBakoの行動ログ機能により、以下のデータを確認できました。
| 指標 | 数値 | ポイント |
|---|---|---|
| チャット送信数 | 144件(1人あたり1.92件) | 質問や感想を自発的に発信 |
| エモート送信数 | 228回(1人あたり3.04回) | 拍手・笑顔などワンタップで反応 |
チャットやエモートは、送るかどうかが完全に生徒の自由です。「やらなくてもいい操作」を1人あたりチャット約2件・エモート約3回おこなっていた事実は、少なくとも画面を開いているだけの状態ではなかったことを示しています。
なお、今回の設計では適職診断でまず職業を選び、その職業でそのまますごろくをスタートするという流れを採用しています。適職診断は導線の一部であるため、クリック数は参加の流れに沿ったものです。
キャリア教育の事例に学ぶ授業設計の4つの工夫
通常のオンライン授業では、生徒の行動は「画面を見る」「ミュートで聞く」にとどまりがちです。本事例で自発的な発信行動が確認された背景には、4つの設計上の工夫がありました。
工夫① すごろく × ゲーミフィケーションで「たのしさ」と「学び」を両立
海のイラストがあしらわれたアニメーションつきのバーチャル会場。すごろく形式で各マスに「職業」を配置し、生徒がたのしみながらさまざまな職業と出会える設計です。
今回の設計では、まず適職診断で職業を選んでからすごろくをスタートする流れを採用。診断は体験の入口として機能しており、「自分が選んだ職業でゲームをする」というゲーミフィケーションが、学びのハードルを下げるきっかけになっています。
工夫② アバター参加で発言・行動のハードルを下げる
生徒全員がアバターで参加しました。顔出し・声出しは一切不要です。
顔や名前が表示されないため、発言や行動のハードルが下がります。自分でアバター画像を変更して個性を出す生徒もおり、アバターが自己表現の入口になっていました。
エモートは1人あたり約3回。顔が見えないぶん、気軽に拍手や笑顔を送れるバーチャル空間ならではの行動データです。
なお、アバター参加は就労支援の分野でも有効です。ひきこもりや不登校の若者にとって、対面のハードルなしに社会参加できる手段となり得ます。

工夫③ ブラウザ完結・アプリ不要で導入ハードルを下げる
reBakoはアプリのインストールが不要です。ChromeブラウザとPCがあれば参加できます。教員がIT担当へアプリ追加を申請する手間がなく、参加者側の準備工数を大幅に削減できるのが強みでしょう。
学校のPC教室などアプリの追加が制限された環境でも、ブラウザさえあれば参加できます。ITにくわしくない参加者でも直感的に操作できるUIも特長です。
工夫④ 「回遊型」設計で空間体験を演出
セミナー会場(配信ステージ+適職診断)とすごろく会場(すごろく+配信ステージ)を別々の空間として配置しました。参加者が2つの会場を移動する設計です。
Zoomは「全員が同じ画面を見る」構造です。reBakoは「対面のイベント会場を歩き回る感覚」をオンラインで再現できます。会場内をめぐることで、生徒は自然と複数のコンテンツに触れられるでしょう。
「移動する体験」自体がZoomにはない要素であり、バーチャル空間ならではの設計といえます。
キャリア教育の事例から得た運営ノウハウ
うまくいったこと
今回の実践事例について、行動ログ分析や参加した生徒からのフィードバックから見えた成功ポイントをまとめました。
| 成功ポイント | データ・根拠 |
|---|---|
| チャット・エモートの自発的な利用 | チャット144件・エモート228回——任意の発信行動が一定数発生 |
| アバターを通じた自己表現 | 自発的にアバター画像を変更し、バーチャル空間を自分なりにたのしむ生徒の姿が現場で確認された(現場スタッフ報告) |
| デジタル体験への好意的な反応 | 「みんなの動きが見えるのが新鮮でたのしい」(参加者アンケートより)。現場の総括でも、デジタルを取り入れたほうが生徒の食いつきがよく、たのしんでもらえたとの評価 |
課題と改善ポイント
reBakoの導入を検討されている方へ、実践から得られた改善ポイントも共有します。
| 課題 | 原因 | 改善策 |
|---|---|---|
| 読みこみ遅延 | 学校ネットワークの帯域制限 | 事前の回線テスト / 軽量コンテンツ設計 |
| セミナー音声の聞きとりにくさ | 教室内の話し声 | 現地スタッフ配置/ イヤホン配布 |
| サポートエリアの認知不足 | 案内が目立たない | 開始時のチャット案内 + 案内板の視認性向上 |
最大の学び: 完全遠隔ではなく「オンライン配信 × 現地サポート」のハイブリッド運営が成功のカギでした。バーチャル空間の体験価値を最大化するには、現場でのフォロー体制が欠かせません。
キャリア教育の事例から広がる活用シーン
今回はジョブカフェ青森の中学生向けキャリア教育でした。以下は想定される他の活用シーンです。
| 活用シーン | 対象 | メリット |
|---|---|---|
| サポステの合同説明会・相談会 | ひきこもり・不登校の若者 | アバター参加で心理的ハードルを下げ、匿名で相談できる |
| 自治体のUIJターン促進イベント | 地方に興味のある求職者 | 地理的制約なく全国から参加可能。ブース回遊で複数企業と接触 |
| 学校の総合学習・オンライン職業体験 | 中学生・高校生 | ブラウザ完結でアプリ不要。ゲーミフィケーションで主体性をひき出す |
| 合同インターンシップ説明会 | 大学生・就活生 | 回遊型で複数企業ブースを自由に訪問。効率的な情報収集 |
| 障がい者むけ就労支援イベント | 障がいのある求職者 | 在宅からアバターで参加。移動の負担がゼロ |
reBakoに関するよくある質問
Q. reBakoの料金はどのくらいですか?
利用人数やイベント規模に応じた複数のプランがあります。くわしくは料金プランをご確認ください。
ご利用時間と参加者数に応じた料金シミュレーターもご用意しております。
Q. 導入にはどのくらいの工数がかかりますか?
イベントの規模やカスタマイズの度合いによって異なります。くわしくはお問い合わせページからご相談ください。
Q. reBakoは何名まで対応できますか?
reBakoは少人数から数百名規模のイベントにも対応しています。参加人数に応じたプランの詳細は料金プランからご確認ください。
Q. キャリア教育以外にはどんな用途がありますか?
合同企業説明会、UIJターン促進イベント、社内研修、展示会など幅広くお使いいただけます。くわしくは利用実績をご覧ください。
Q. アプリのインストールが必要ですか?
reBakoはブラウザ完結型です。ChromeとPCがあれば参加でき、アプリのインストールは不要です。
まとめ|キャリア教育の事例から見えた3つのポイント
この事例の3つのポイント
- すごろく × アバター × 回遊型設計で、Zoomウェビナーとは異なるオンライン授業の形をつくった
- ブラウザ完結・アプリ不要で、導入・運営の工数を抑えられた
- チャット144件・エモート228回など任意の発信行動が記録され、「見ているだけ」にならない設計の手がかりが得られた
授業の枠組みのなかでもやらなくてもいい行動が一定数生まれた事実は、空間設計やゲーミフィケーションが行動を後押しした手がかりといえるでしょう。
メタバース型のキャリア教育は、地方の機会格差や心理的ハードルといった課題に対する選択肢のひとつです。本事例の設計と改善点が、あなたの実践の参考になれば幸いです。
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